
「夜読む日記」
いじめについて考える
人生で一度だけ「いじめられる」を経験したことがある。成人してからで、環境も特殊だった。
学生時代「一人ぼっち」を経験することはあれど、「いじめられる」は未経験だった。
その時はすでにイラストを生業にしていて、そのイラストを描くうえで孤独とか、ネガティブの中にこそあるポジティブみたいなものをテーマにしていたので「こんな気持ちを経験している人がこの世の中にいっぱいいるんだ。しかも私よりも若かったり、未来のある人がたくさん。」なんて思って、思いながらも自分の現状が苦しすぎてちょっと、本当にあの時はどうにかなっちゃいそうだった。
いつ、なんで、誰にということは伏せて、今回はただ当時の自分の気持ちをつらつらと書いていけたらなんて思っている。
私の受けたいじめは無視とか否定とか。他にもいろいろあったけどまず困ったのは誰に頼ればいいのかが本当にわからなかった。
頼れる相手を見つけたとしてどこからどう話していいのかがわからなくて、結局リアルタイムで誰かに相談するという手段を取ることができなかった。
それまで自分って結構ポジティブなつもりだったし、失敗こそすれなるべく正しく生きていたつもりだったんだけど、それでも「え?じゃあやっぱり私って…めっちゃ悪党で全然良くない存在なのかな!?」って自己肯定感がダダ下がりだった。
悲しいやら悔しいやらで本当に毎晩はらわたが煮えくり返りそうになって、でも私一人の抵抗では何も変わる気がしなかったから、対抗するためには死ぬしかないんじゃないかって真面目に考えた。
「死」っていうカードを切る事によって、相手に生きて抵抗するよりもパンチの強い攻撃を仕掛けられるんじゃないかと真面目に思ったんだよね。
で、実行しようとして、やっぱり「怖いかも~」ってやめたりなんかしちゃって。
毎晩悔しさが込み上げる。でも悔しすぎて涙も出ない。
前述のとおり私はこの頃成人していたし、ある程度貯金もあったし「これってやっぱりおかしいよな!?」って思って力を振り絞って引っ越しとかして逃げたんだけど、でも、学生とか、逃げ場がない人たちは、どんな思いで日々を過ごしていたのだろうって日々考えるようになった。
ニュースで目にするいじめの事件とかさ。いじめられる前も私もその場面を想像して怒ったりしてたんだけど。でも実際にあの「私っておかしいのかな!?」って気持ちを経験すると、ああもう私には想像のできないような最悪がこの世界のあちこちで起こっているんだなと。そういう話題を目にするたびにどんなに苦しいだろうと思いを馳せる。
●いじめられて当然の人間なんていない
今の私にわかることはいじめられて当然の人間なんていないし、いじめていい人間なんて一人もいない。
でもそのことを、いじめる側にわかってもらえるように伝える必要はない。と思う。だってたぶん理解できないと思うから。多分いじめている人にもいじめている人なりの言い分とか、なんかわかんないけど、正義とかがあるんだろうと思う。だからたぶん分かり合えない…と思うぐらいの方がいい。それでいい。
本当に大切なのって「理解しあうコト~」とか「思いやり~」とかじゃなくて自分自身が「自分はいじめられて当然の存在ではない」ということをしっかり覚えておくことだ。
他人を軽んじたり、ぞんざいに扱っていい人間なんてどこにもいない。そのような人々は、あなたの大切な友達でもなければ、運命の恋人でもない。血がつながっていたって同じ場所で働いていたって、そんな人に義理を感じる必要はないのだ。
「逃げていい」って言われてもそんなもんマジで全然簡単じゃないし、そんな言葉はすぐには心に響かないことも理解している。
しかしやはり、外野の私が言える一番伝えたい言葉は「理不尽からは逃げてもいい」なのだ。
嫌な人がいる場所からは逃げてもいい。そいつが外にいるなら家にこもっていてもいいし、家の中に理不尽があるなら、やっぱり家からだって逃げてもいい。
いきなりじゃなくてもいい。ゆっくり計画を立てたっていい。
大切なのは自分で自分を守ること。これを何よりも一番に考えるべきなのである。
逃げた先で、もしまた何かあったとしても、また逃げればいい。自分の良さをわかってくれない場所に、わざわざ身を置き続ける必要はない。もちろん、簡単なことではないことはわかっている。でも、誰の人生の中にも「逃げる」というコマンドがある事だけは忘れないでほしい。
逃げて、逃げて、逃げた先に、もしかしたらあなたにとっての素敵な場所が待っているかもしれない。
そうだったらいいのになと思う。心からそうであってほしいと思う。
あなたに理不尽を働く誰かより、あなたを苦しめる場所より、あなたが行ったことのない場所、会ったことのない人の方が圧倒的に多いのだ。それってものすごいエネルギーを放つ希望だよ。
今、逃げた先にいる私が、いつかどこかの誰かに見てほしいから、この言葉をここに書き残しておく。
