「映画でくつろぐ夜。」 第123夜
知らずに見ても楽しめるけど、
知ればもっと作品が奥深くなる知識、情報を
映画ライター、真魚八重子が解説。
「実は共通の世界観を持っている異なる作品」
「劇伴に使われた楽曲の歌詞とのリンク、ライトモチーフ」
「知っていたらより楽しめる歴史的背景、当時の世相、人物のモデル」
自分には関係なさそうとスルーしていたあのタイトルが、
実はドンピシャかもと興味を持ったり、
また見返してみたくなるような、そんな楽しみ方を提案します。
■■本日の作品■■
『デッドゾーン』(1983年)
『1408号室』(2007年)
※配信サービスに付随する視聴料・契約が必要となる場合があります。
個人的に出遅れてしまったスティーヴン・キング
スティーヴン・キング原作の映画公開が続いている。今年に入ってからだけで、エドガー・ライト監督の『ランニング・マン』、ホラー界で一気に人気監督になったオズグッド・パーキンス監督による『THE MONKEY/ザ・モンキー』、マイク・フラナガン監督の『サンキュー、チャック』、フランシス・ローレンス監督の『ロングウォーク』。フラナガンはキングの熱狂的ファンで、過去にも『ジェラルドのゲーム』や『ドクター・スリープ』を映画化している。『サンキュー、チャック』はホラーの帝王スティーヴン・キングの中でも、時折書かれるヒューマンドラマ系の作品であり、『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』のような系列に入るだろう。
それで、個人的にキングの映像化作品は、じつは率先して観てきていなかった。仕事柄、一応たぶん最低限程度は観ている。取りこぼしてしまっているのもあるけれど、有名作品なら押さえてはいると思う(たぶん)。キングがメガホンを取り、みずから失敗作と認めた『地獄のデビル・トラック』も観ているし……。『IT』は映画版だけでなく、テレビドラマ版も観た。ペニーワイズをティム・カリー(『ロッキー・ホラー・ショー』のフランクン・フルター博士!)が演じたバージョンだ。それと、テレビドラマ版のミック・ギャリスが監督した『シャイニング』も観た。キングはスタンリー・キューブリックの映画『シャイニング』に非常に不満を抱いており、ギャリス版ではみずから脚本も手掛けている。
先述したことはキングのファンなら当然の知識で、いまさらおさらいするまでもないお話なのだが、わたし自身が微妙にキングの映像化作品に興味を強烈に惹かれることがなく、どことなく後回しにしてきてしまったせいで、こうやって改めて書いてみないと曖昧な部分があったりするのだった。もちろんトビー・フーパー監督の『マングラー』は大好きで何度も観ているし、興味のない人もいそうだけれど『1408号室』は偏愛している。(ある出来事を経験してから、もう二度と昨日以前の自分に戻れない人の話が好きなので)。でも他に繰り返し観ているのは『シャイニング』『ミスト』『キャリー』くらいだろうか。
それとじつは原作をあまり読んでいないという恥ずかしい事態もある。これは本当に赤面してしまう。読めば『キャリー』などもすごく良かったし、キャリーをシシー・スペイセクが演じたバージョンと、リメイクのクロエ・グレース・モレッツ版の違いが、原作のどこを取り入れるかで異なっていることに気がつくなど、勉強になるのはわかっている。でも、これからの人生に残された時間で、未読の膨大な量のキングを読んでいくことを考えると、途方もなくて卒倒しそうな気がする。 6月26日から公開になる『ロングウォーク』はキングの処女作で、映画『ハンガー・ゲーム』シリーズを手掛けたフランシス・ローレンス監督が手掛けている。試写で拝見したが非常に面白かった。「ロングウォーク」という競技は、選ばれた50人の若者たちがひたすら歩き続けるものだ。戦い抜いて、最後に残った勝者は大金と願いを1つかなえる権利を獲得できる。しかし参加者には「時速4.8キロをキープすること」「速度が下回ると警告開始」「3つの警告で即死」「最後の1人になるまで歩き続けること」という厳しい4つのルールが課されている。映画はまるで“死に方博覧会”のような様相で、残酷ではありつつ、青年たちの友情も描かれていてちょっと泣けてしまった。
<オススメの作品>
『デッドゾーン』(1983年)
『デッドゾーン』
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
原作:スティーヴン・キング
出演者:クリストファー・ウォーケン/ブルック・アダムス/マーティン・シーン/ニコラス・キャンベル/トム・スケリット
デヴィッド・クローネンバーグ監督による、事故に遭い昏睡状態に陥った男が、5年後に目覚めると過去や未来の透視ができる超能力を身に付けていたスリラー。途中、連続殺人事件なども織り込まれてホラーの要素もありつつ、男が自分に課された大きく孤独な運命を果たしていく作品。主演のクリストファー・ウォーケンがはまり役で、観ているだけで泣ける。
『1408号室』(2007年)
『1408号室』
監督:ミカエル・ハフストローム
原作:スティーヴン・キング
出演者:ジョン・キューザック/サミュエル・L・ジャクソン/トニー・シャルーブ/レン・キャリオー
主演のジョン・キューザックが演じるのは、超常現象を信じないがオカルトライターをしているマイク・エンズリン。彼の元へ差出人不明の手紙が届き、一言だけ「ニューヨークにあるドルフィン・ホテルの1408号室には入るな」と書かれていた。調査すると、そこに宿泊した客たちは皆が謎の死を遂げていた。さっそくマイクが泊まる一夜の現象がメチャクチャで、怖いというよりアミューズメントパーク的だ。
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