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「断片的回顧録ふたたび」

ここに書き起こしておかないと忘れてしまいそうな、日々の可笑しみと哀しみとその間のこと全部

3月1日

週刊新潮の原稿をなんとか仕上げる。前は二ヶ月先まで送っていた原稿も、ついに取って出し状態になってしまった。リアル週刊連載。週刊連載は一週間に一度、必ず原稿を送らなければいけない(当たり前)。常に「〆切」という文字が頭の片隅にありながらの日々。恐ろしい職業に就いてしまった。

3月2日

J-WAVE『BEFORE DAWN』収録の前に、サッポロ黒ラベル『OTOAJITO』にゲストに呼んでいただいた。クリス・ペプラーさんの声をヘッドフォンで聴きながら、ビールを飲む収録は至福。

3月3日

友人と渋谷『どうげん』で焼き肉。りんごを千切りにしたものをロースで包んで食べるその名も「りんご」というメニューが最高に美味。ハイボールを飲みすぎ、酩酊してしまい、深夜にラーメン半チャーハンを食べてしまった。酒は仕方ない。ラーメンと半チャーハンはマジでやめよう。胃もたれとむくみが酷い。

3月4日

とある原稿が信じられないくらい進まない。担当から連絡がないことを祈りながら日々過ごしている。こういう状態にならないために早くやるようにしていたのに……。とりあえず朝まで粘るしかない(現在午前5時。朝の可能性あり)。

3月5日

GRAPEVINEのライブを観に新潟へ。仕事が煮詰まっていたので、丁度良い気分転換になった。ライブ後、楽屋を訪ねたら、ボーカルの田中和将さんから「小説読んでます。ファンクラブの会報に書評を書いたところでした!」と嬉しい報告をされた。「とりあえず飲みましょうよ!」そう言って、日本酒の一升瓶を掲げる田中さんの誘いを、誰が断れるといえるだろうか。嗚呼こんな夜がたまにはあっていい。

3月10日

久しぶりに仕事が揉めに揉めている。日常付き合うなら優しい人に限るが、仕事で付き合う場合、「優しいけど決断力がない人」というのが、一番面倒だったりする。とにかく良いことも悪いことも、保留にしてしまう人が一番厄介だ。

3月12日

今日はひとりでひたすら原稿を書く予定だったのに、起きたら昼過ぎで、コインランドリーに行って、ドライ乾燥が終わる間に『餃子の王将』で餃子をつまんでいたら、もう外が暗くなりかけていた。何も成果を残すことなく、3月12日が終わっていく。死ぬときに後悔しそうな一日だと思ったが、来週には忘れてしまいそうな一日でもあった。

3月14日

映画界の闇、みたいな話を聞いてしまった。

3月15日

新しい連載の準備の準備くらいの段階。原稿を一つ書いた。いつ発表できるだろう。無事に発表できるところまでメンタルが持つだろうか。多分ストレスから胃痛で、昨日から調子が悪い。アルコールと中華禁止。

3月20日

LEOくんから自宅に荷物が届いた。気配りの人。届いた荷物を開けてみると、お菓子がたくさん入っていた。お礼のメールをとりあえず送ると、「仕事の合間に食べてください! 小学校の知り合いがやってる店なんです!」とすぐに返信があった。ポリポリとお菓子を食べながら、滞っていた原稿に手をつける。いつか彼と映像の仕事ができますように。

3月21日

テレビ局のプロデューサーと道玄坂の焼き鳥屋で会食打ち合わせ。ハイボールを飲みすぎてしまった。そして気づいたら、またラーメン半チャーハンを食べてしまっていた。麻薬。8キロ太ってしまった。あらゆる欲に弱い。

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ライター紹介

燃え殻
テレビ美術制作会社企画、小説家、エッセイスト
1973年神奈川県横浜市生まれ。都内のテレビ美術制作会社で企画デザインを担当。2017年、『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説デビュー。
2021年3月、書籍『夢に迷って、タクシーを呼んだ』刊行。

【Twitter】 : @Pirate_Radio_
【Instagram】 : @_pirate_radio_
熊谷菜生
タイトルデザイン
岩手県出身。グラフィックデザイナー。主に広告や書籍のAD、デザインなど。
『相談の森』『すべて忘れてしまうから』『夢に迷ってタクシーを呼んだ』(著者:燃え殻)の装丁を担当しています。

【Twitter】:@nao_qm
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