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「断片的回顧録ふたたび」

ここに書き起こしておかないと忘れてしまいそうな、日々の可笑しみと哀しみとその間のこと全部

12月5日

ほぼ企画の書かれていない企画書が届いた。

12月6日

東京ガーデンシアターにて『BE:FIRST』のライブへ。

ゴールデン街で飲んだときのLEOさんとは、まったく別人の『LEO』という一人のアーティストがステージ上にいた。せっかく友達になったんだから!くらいの気持ちでライブを観に行ったら、「こんな凄い人、知らない」という意味不明の感情になってしまった。途中から、各々のメンバーのパフォーマンス、歌声、それにセット美術などにも魅了され、圧倒されたままライブは終了。スタッフの方に「楽屋にぜひ!」と声をかけてもらったが、飲んでいたときと同じテンションでこれは会えないと判断し、丁重にお断りさせてもらった。
帰り途中、LEOさんからLINEが届く。「どうでしたか? 俺、大丈夫でした?」と心配のご様子。「なにをどう心配するんだ。最高感動マジ大丈夫」と返信。いかにあなたのパフォーマンスが多くの人たちの支えになっているかをLINEで力説してしまった。その「多くの人たち」の中に、自分も含まれていると付け加えた。

そのあと、TOKYO FMの生放送へ。二村ヒトシさんとの共著『深夜、生命線をそっと足す』(マガジンハウス)の宣伝のはずだったが、いかに今日観た『BE:FIRST』のライブが素晴らしかったかを番組始まってすぐ、ドババと話してしまった。

12月9日

二村ヒトシさんとのインターネットラジオ『夜のまたたび』の最終回を収録。最初は軽い気持ちで始めた番組だったが、気づくと三年の月日が流れていた。回数も77回に及んだ。ひっそりこっそりアップしつづけてきた不思議な番組だった。どこを切り取ってもバズることはない内容だったが、「バズる」という現象につきまとう下品さも一切ない番組になったのは、ひとえに二村ヒトシさんがいてくれたからだ。
番組の本(『深夜、生命線をそっと足す』マガジンハウス)を最後に出せたことは、いい思い出になった。番組をちゃんと閉じることができてよかった。書籍もきっとバズるような内容じゃないが、自分にとって、とても大切な一冊になったと思う。マガジンハウスの担当大島さんにもお世話になった。ディレクターの伏見さんには、いくらお礼をいっても足りないくらいだ。文字起こし、構成まで丁寧にやっていただいた兵庫さんにもお礼をいいたい。

12月13日

胃のあたりの差し込み痛で目が覚める。布団は汗でびっしょり。暑いわけではなく、完全にあぶら汗。身体が冷えたと思い、風呂場まで行くが、そこで意識を失ってしまった。三十分くらい意識がなかった。目が覚めると、また差し込み痛。これは本当に危ないと思って、タクシーを呼んで病院へ。診断は胃腸炎。「とにかく今週いっぱい絶対休んで」と医者から言われて帰宅。どう考えても休んだらマズいスケジュールがびっしりで、どうしようかと途方に暮れ、ツイッターに状況を打ち込む。仕事を一緒にしている方々からメールがあり、謝罪しながら、スケジュールを変更。見慣れないメッセージが届いたので、間違って開けると「体調悪いとか泣き言いってんじゃねーよ!」と知らない方からの容赦ないメッセージ。静かに削除。師走感。

12月17日

胃腸炎の症状は、だいぶ治ってきた。先送りしていた仕事が山のように溜まっていて、これはもうクリスマスどころか、年末年始が吹き飛びそうなことにやっと気づく。というか、最初から吹き飛びそうだったことをやっと理解できた感じ。ただ冷静に考えると、この異常なスケジールも、来年再来年あたりには、懐かしくなるような気がしている。多分それは当たっている。そのうちすべては懐かしくなるはずだ。理由はまた追々お伝えできればと。とにかくそう思うと、心身共にギリギリながらも、感謝を込めて一つひとつの仕事に対峙していきたい。そのうちすべては懐かしくなるのだから。

12月18日

またぎっくり腰になってしまった。整骨院の先生に「腰の筋肉が二流」といわれた。あんまりだと思う。

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ライター紹介

燃え殻
テレビ美術制作会社企画、小説家、エッセイスト
1973年神奈川県横浜市生まれ。都内のテレビ美術制作会社で企画デザインを担当。2017年、『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説デビュー。
2021年3月、書籍『夢に迷って、タクシーを呼んだ』刊行。

【Twitter】 : @Pirate_Radio_
【Instagram】 : @_pirate_radio_
熊谷菜生
タイトルデザイン
岩手県出身。グラフィックデザイナー。主に広告や書籍のAD、デザインなど。
『相談の森』『すべて忘れてしまうから』『夢に迷ってタクシーを呼んだ』(著者:燃え殻)の装丁を担当しています。

【Twitter】:@nao_qm
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