ちょっと気楽になった夜
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五月病とは無縁の60点主義
この記事が掲載される頃は、大型連休を間近に控えている時期ですかね
年に数回しかない貴重なロングホリデー
今か今かと『一日千秋』改め『一日千春』の思いで待ち侘びている方も多いかと思います
でも、このウキウキする連休の影で、ひっそりと準備運動をしている厄介な魔物がいるんですよね
そう、皆さんご存知『五月病』です
五月病と聞くと、『新しい環境に適応できなかった怠け者の言い訳』のように捉える人もいるのかもしれませんが、実はその逆なんですよ
五月病の正体は『過剰適応による息切れ』であり、真面目で、責任感が強く、他者の期待に100%で応えようとする、模範的な人から順番に倒れていくシステムエラーなんです
四月という月は、否応なしに新しい人間関係や環境がスタートします
そこで『使えない奴だと思われないように』『和を乱さないように』と、多くの人が自分の本来のキャパシティを無視して、社会が求める理想の人物像を演じます
アドレナリンを過剰に分泌させ、感覚を麻痺させることで、無理やりその役柄を演じ続けるわけですね
しかし、ゴールデンウィークという長期休暇によって、その強制的な稼働がふと途切れる
張り詰めていた緊張の糸が切れた途端、麻痺していた蓄積疲労と自分を偽り続けてきたことへの虚無感が一気に押し寄せてくる
これが五月病のメカニズムです
では、この鬱屈としたシステムエラーを回避して、春の嵐を涼しい顔で乗り切っていく人たちは何が違うのでしょうか
彼らは決して、鋼鉄バキバキなストロングスタイルのメンタルを持っているわけではありません
単純に、自分を守りつつ社会をスイスイと泳ぐための処世術、『60点主義』をプレインストールしているんです
五月病とは無縁の人は、最初から100点満点の完璧な人間なんて微塵も目指していません
『とりあえず遅刻せずに来たし』『致命的なミスはしていないし』と、及第点の60点でスッパリと見切りをつけることができる『良い加減の達人』です
60点主義の人は、べつに能力が低いわけではないんですよね
実務はちゃんと60点取れているし、その60点は揺るがない安定したラインなんです
求められた最低限はきっちり押さえつつ、それ以上を無理に背伸びして取りに行かないだけ
そして、その背伸びしない姿勢がなぜか好感を生む
この構造こそが、60点主義の一番の奥深さです
実務60点で止まっているはずなのに、なぜか周囲の評価がそれ以上になる
冷静に考えたら矛盾しているはずなのに、実際の社会ではこの不思議な現象が起こります
理由は単純で、足りない40点分を彼らは愛嬌で満たしてしまうからです
ここで言う愛嬌は、媚びや計算ではありません
完璧に取り繕わない素のままの姿勢、余裕のある空気、肩に力の入らない人柄、ちょっとした抜け感
その『隙』が、まわりの人間の心理的なハードルを下げるんですよ
完璧な人には『近寄り難さ』があるけれど、60点主義の人には『寄り添いやすさ』がある
『まあ、この人だし』『なんか放っておけない』という、あの独特の許容の空気が生まれる
それが40点分の愛嬌として機能していき、結果的に100点扱いされる
完璧ではないのに評価が落ちない
むしろ人に好かれるぶん、支援や援護が自然と集まるわけですね
『適当にやっているだけ』ではないんですよ
むしろその60点を安定して出し続けられるように日々の調子を整えている
無理をしないための微調整がうまいんです
体力の使いどころと抜きどころを感覚的に把握しているから、四月のような環境変化の時期でも、自分をすり減らさずに済む
これが結果として五月病から距離を置ける理由なんですよね
一方で、満点主義の頑張り屋な人ほどこの調整が苦手です
気合と根性で押し切ってしまうから、自分の疲れに気づかない
気づいた時にはキャパを超えていて、連休で一気に反動が出る
つまり五月病というのは、性格や能力の問題ではなく、日々の負荷管理の問題なんです
60点主義の人が特別にタフなわけでも優秀なわけでもない
ただ、初めから無理な設計をしていないだけなんですよね
なので、もし四月を全力疾走してしまったなと感じるなら、連休中に少し立ち止まってみるのもいいかもしれません
自分の中の100点を目指してしまう癖をいったん棚卸しする
やらなくてもいいこと、抱えすぎていること、過剰に頑張ってしまっている場面
それらを一つずつ60点の世界に降ろしていく
それだけで、連休明けの世界は少し穏やかに見えるはずです
100点を目指さなくても、仕事はちゃんと回る
むしろ60点のほうが長く安定して続けられるし、人にも恵まれやすい
そんな当たり前の事実を、年度初めのこのタイミングでそっと思い出していただけたらと思います
60点で生きるというのはサボることではなく、自分を長く機嫌よく使うための技術ですからね



