「夜読む日記」

「ある日わたしがお姫さまだと気づく」

私は自分の容姿や健康に対して最近までかなり無関心であった。
肌が荒れていても、髪がぼさぼさでも、手がささくれていても、体調が悪くても「いや、でも今まだやることあるし」と後回しにしてしまうのである。
若い頃からその癖はあって、今思い返すと何をそんなにやりたかったのか思い出せないが、とにかく自分の体の事はどうでもよかったのだ。

●とにかく体調が悪い
ただ…産後。問題は産後に発生した。
無視できないぐらい体調がずっと悪いのだ。
2年弱ぐらい、ただ事ではないぐらいに調子が激悪だったのだ。
この頃私はなんだか毎日がとても不安で、日中は子育て→子供が寝たら睡眠時間を削って仕事をする…を毎日続けていたため当たり前だが疲れが取れなかった。
「産後だしこんなもんか～」と流して毎日がむしゃらにやる。
しかしもう本当にしんどい。
たとえるならば自分の上に濡れた敷布団が24時間覆いかぶさっている感じ。
だるくて重い。動くのも大変。世界がいつもちょっと暗く感じる…。

ある日、なんとなく「毎日おっぱいをあげてるからもしかして私貧血なんじゃない…？」と思い、即アマゾンを開き、鉄剤を買って飲んでみた。
なんか…なんか調子がいい気がする…
鉄を数日飲むと体がちょっとだけ軽くなり、頭も前よりクリアになってきた。

そこで「もしかして…無理して起きるの…逆に効率悪いんじゃない…？」と当たり前の事をひらめき、私は眠ったのであった…。

●自分を可愛がれるのは自分しかいない。
翌朝私の体調はすこぶるよかった。
ただでさえ可愛いと思っていた息子がよりかわいく見える。心に余裕があるからだ…
掃除ができる…洗濯も…
体力が…回復しているからだ…
自分の事を蔑ろにすることがデフォルトだったが、自分の不調をひとつづつ見極めて対処するとこんなに生きやすくなるのかと私はこの時にまじまじと感じた。
こんな当たり前のことに気づかないぐらい私は私に興味がなかったのだ。

私はこれまで自分のイラストに何度も「自分の白馬の王子様は自分だけ」というセリフを書いていたのだが、その割に私自身は何もわかっていなかったのではないかと自分を恥じた。
なんとなく、いつかどこかで絵物語に出てくるプリンセスのように、誰からも愛されてなんでも心配してもらえる日がくるのではないかと思っていたのではなかろうか。
いいや、そんなことが現実に起こりえる訳がないのだ。（起こっている人もいるかもしれない…その場合はかなり羨ましいが…）

この世界を生き抜くには自分自身の中で自分を一番にしてあげることが大切なのではないだろうか。
とにかく守ってあげねばならないのだ。姫のように。
大事にエスコートしてやらねばならない。誰よりも。
姫には暖かいお茶を飲む時間が必要だし、体調に異変があれば医者へ連れて行かねばならない。
ほかの誰よりも。なぜならば私は私の事を一番に理解して、大切にできる王子様なのだ。

●ということで
自分の体調を整える事に少しずつ投資するようになった。
不調な部分があるかもと思えば子供を夫に預けて病院に行くことにした。
「ちょっと今日は一人で家事するのが無理かも」と思った時にも家族に手伝ってもらったりしている。
自分を優先できた日、人に頼れた日、私は少しだけプリンセスになる。ちょっぴり申し訳なくはあるが。
それでも自分の事を一番察せて、何をしてほしいかは自分にしかわからないのだ。
少しぐらい自分本位でもいいのだと思う。そしてそういう他人の自分本位も大切できる自分でありたいと思う。

最近は歯医者に通って歯列矯正の下準備なんかもやってみちゃったりしている。
歯並びに悩んでいない自分を見てみたいと思ったのだ。
自分に投資した先で、未来の自分がきっと喜んでいるはずだし。
今日も私は私の王子様として自分を少しだけ甘やかす。

歯を磨きながら、鏡の中の自分に「まあまあ、よくやってるよ」と言ってみたりなんかして。