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「夜読む日記」

相性が悪いんじゃなくて、距離が近すぎたのかもしれない

過去に何度か書いてきたが、私は「親友」って言葉に、憧れを持っていた。
毎日連絡をとり合って、何でも言い合って、たまにはケンカもして、だけど最後は笑い合えるような。
そういう存在が、自分にもいつかできたらいいな~とか思っていた。

しかしこれがなかなかうまくいかない。
人と仲良くなりたいのに、近くなりすぎるとどこかで疲れてしまう。
はたまた「ちょっとそれ失礼なんじゃない!?」だったり、「私の一言、かなり余計だったかも…」と感じる瞬間が増えて、いつの間にか勝手にしんどさを感じてしまったりもする。

それでも私は、「人類全員から嫌われたくない」と本気で思っていたようなタイプなので、あまり人に苦手意識を持ちたくなかった。
なるべくうまくやりたい!!だけど、「あ、この人とは合わないのかも」と思うたび、自分がうまく人と付き合えないダメな人間のような気がしていた。

⚫親友ができない!
昔、すごく仲の良い友達がいた。
同じ部活で、毎日会って話して、放課後も週末もいっしょ。
すごく楽しかったし、心のどこかで「この人が親友ってやつなのかな」と思っていた。

でも、ある時からだんだん距離感に違和感が出てきた。
向こうはぐいぐい近づいてくるのに、私はそれに応えられない。
無神経な言葉が刺さるようになり、なんだか学校に行くのがしんどい。

最終的には絶交みたいな終わり方になって、私はかなり落ち込んだ。のであった。
「やっぱり私にはまともな友達なんてできないんだ」と思っていた。

⚫悪かったのは距離
それから数年後、SNSで偶然その人と再会して、少しずつまた連絡を取るようになった。
その流れでふつうに会ったり話したりするようにもなった。
「私たち、おとなになったのね~!」なんて思っていたが、やはりまた同じように距離が近づきすぎて「おや…?」となった。
「あれ?私また同じことやってない?」とそのときふと思った。

悪かったのは、その人じゃなくて“距離”だったのかも。

⚫距離や時間をあける
それ以来、「相性が悪いのかも」と思ったとき、まずはちょっと物理的に距離を置くようにした。
会う頻度や連絡のテンポをゆるめてみる。
時間を空けてみる。それだけ。

不思議なことに、それだけで関係がうまくまわりはじめたりする。全てではないけど。
前より楽に話せるようになったり、苦手だったところが気にならなくなったり。
“ダメな関係”なんかじゃなかった。ただ、適切な距離じゃなかっただけなんだ。

「この人、合わないかも」と思ってすぐ切らずに、“適切な間”を探してみる。
そういうスタンスになってから、人との摩擦がぐっと減った。
もちろん、それでも合わない人はいるし、無理せず離れることもある。
でも「苦手」は、案外“設定ミス”だっただけなのではないだろうか。

⚫親友になんかなれなくてもいい
今でも「人類全員から嫌われたくないな〜」ってほんのちょっぴり思ってしまう事がある。
だけど、「無理して好かれたい」と思うより、「気持ちよく過ごせる距離感でつながれたらいいな」って、そう心から思っている。

“親友”なんかになれなくたっていい。
“うまくいく距離”を見つけられる関係があることに、今はちょっと救われている。

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ライター紹介

原田ちあき
イラストレーター・漫画家・京都芸術大学非常勤講師
誰の心の中にもある、鬱屈とした気持ちをカラフルに描く。

国内外問わず展示やイベントを行い、イラストの枠に収まらずコラボカフェ、アパレルデザイン、映画出演、コラムの執筆、コピーライター、バンドへのゲストボーカルなど活動は多岐にわたる。
誰かに喜んでもらえるなら何でもやりたい。

【連載】
「やはり猫にはかなわない」ソニーミュージック es
「原田ちあきの人生劇場」LINE charmmy
「しぶとい女」大和書房

【著書】
「誰にも見つからずに泣いてる君は優しい」大和書房
「おおげんか」シカク出版
「原田ちあきの挙動不審日記」祥伝社 等

【official】https://cchhiiaakkii8.wixsite.com/chiaki
【blog】http://cchhiiaakkii8.blog.jp
【Instagram】cchhiiaakkii9
【X】@cchhiiaakkii
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