ちょっと気楽になった夜
お悩み相談の痛快なアドバイスが人気。
人生の格言で多くの人の心を動かすDJあおいが
あなたの夜をちょっと気楽にします。
真夜中の『一人反省会』はただのナルシシズム
今日という日を『合格』にしてさっさと寝る技術
一日の終わりの静寂、それは本来、戦士が兜を脱ぐための至福の時間なわけです
それなのに、布団に入って目を閉じた途端、まるで待ち構えていたかのように脳内でゴングが鳴り響く
『第一回、真夜中の一人反省会』の開催です
あの言い方は少し冷たかったかもしれない
もっと気の利いた返しができたはずだ
あの時、相手はきっと不快に思ったに違いない
昼間なら笑って流せるような些細なミスが、夜の闇の中では大罪のように膨れ上がり、心臓が不快なリズムを刻み始める
一度スイッチが入ると、思考は悪い方へ悪い方へと転がり落ちていき、気づけば数時間が経過している
なんてこと、心当たりがあったりして
真面目な人ほど勘違いしているのですが、これを『向上心』だとか『誠実さ』だと思わないでくださいね
あえて言わせてもらいますが、夜、布団の中で行われるそれは『反省』なんて高尚なものではありません
それはただの『自分いじめ』であり、もっと厳しい言い方をすれば、肥大化した自意識が暴走しているだけのナルシシズムなんですよ
そもそも人間には『昼の脳』と『夜の脳』というものがあると思ってください
理性的で論理的な判断ができる昼間に比べて、一日の活動を終えてヘトヘトになった夜の脳なんて、ブレーキの壊れたポンコツ車みたいなものなんですよ
前頭葉という理性の司令塔が機能不全を起こし、その代わりに不安や恐怖を感じるセンサーだけがビンビンに感度を高めている状態
つまり、夜の脳は『泥酔状態』と大差ないわけです
そんな酩酊状態で過去を振り返ったところで、まともな答えが出るわけがありませんよね
泥酔して元恋人に電話をかけてもロクなことにならないのと一緒で、夜中に人生の答え合わせをしようとするのは、百害あって一利なしの愚行なんです
それでも思考が止まらないのは、『反省』と『後悔』を履き違えているからです
『反省』というのは、未来に向かって『次はこうしよう』と具体策を練ることであり、それは理性が働いている昼間にやるべき事務作業です
対して、夜な夜な開催している反省大会は、ただ過去をほじくり返して『自分はダメだ』と嘆くだけの後悔
そこには建設的な提案は何もなく、ただただ精神を消耗させるだけの自傷行為でしかありません
『こんなに悩んでいる自分』に酔っていませんか?
自分を責めていれば、誰かに許してもらえるような気がして安心していませんか?
でも残念ながら、夜中に一人で枕を濡らしても、事態は1ミリも好転しませんし、誰も褒めてはくれません
夜に必要なのは、そんな偽りの誠実さではなく、自分自身への徹底的な無関心です
では、どうすればこの不毛な反省会を強制終了できるのか
『考えないようにしよう』と力むのは逆効果です
思考を思考で抑え込もうとするのは、火に油を注ぐようなもの
思考を止める唯一の方法は、意識を『感覚』へ逃がしてやることです
頭の中で言葉を紡ぐのをやめて、身体が感じている『今』の感覚に全神経を集中させてみてください
頬に触れる枕のひんやりとした感触はどうですか
布団の中のじんわりとした温かさ、足の指先から力が抜けていく感覚
あるいは、今日一日自分を支えてくれた足の裏に、ご褒美のシートを貼ってみるのもいいでしょう
ハーブの香りや、肌に触れる心地よさ
そうした理屈じゃない快感で脳を満たしてやるんです
脳みそというのは案外単純なもので、感覚に集中すればするほど、悩みごとの入り込むスペースはなくなっていきます
『考える』ことを放棄して『感じる』ことへシフトする
それが、心と体を強制的にオフモードにするためのスイッチなわけです
もしまた悪い思考が頭をもたげそうになったら、自分にこう言い渡してください
『はい、本日の営業は終了しました。苦情の受付はまた明日』
シャッターを下ろした店の中で、いつまでも在庫整理をしていてはいけません
店じまいをした後は、そこはもう仕事場ではなく、ただ休息するためだけの聖域なんですから
今日一日、自分は十分に戦ったわけですよ
思い通りにいかないことも、恥ずかしい思いをしたこともあったかもしれない
でも、今日という日を生き延びて、今、温かい布団の中にいる
それだけで、今日のあなたは百点満点なんです
寝ることは、サボることではありません
明日また笑って戦うために、傷ついた細胞を修復し、心を整えるための、もっとも重要な『仕事』です
だから今夜は、明日の自分のために、安心して自分を甘やかしてあげてください
真夜中の反省会はもう解散
これからは、一人穏やかな『お疲れ様会』の時間です
さっさと寝て、明日また美味しいご飯でも食べましょう
それでは、おやすみなさい



