ちょっと気楽になった夜
お悩み相談の痛快なアドバイスが人気。
人生の格言で多くの人の心を動かすDJあおいが
あなたの夜をちょっと気楽にします。
カタルシス経由リラックス行き
悲劇が好きでよく観ます。
できれば悲劇経由の胸スカハッピーエンドではなく、夢も希望もない不幸をグツグツと煮詰めたようなバッドエンドで終わる作品が好きです。
音楽も好きでよく聴くのですが、キラキラと眩しいほど輝くスイーツのような音楽や、押し付けがましい頑張れ系の応援歌は好みません。
悲しさや寂しさ、または怒りといったネガティブな感情を表現した音楽が好きです。
『趣味が悪い』とよく言われますし、自分でも『カッコ悪いな』とも思いますが、どうやら感性というのは『ダサい』とか『オシャレ』といった相対的な価値観は考慮してくれないらしく、世間様の評価がどうであれ好きなものは好きと、絶対的な感度で好き嫌いを判定しているようです。
ネガティブな感情って、あまり世間では歓迎されないものじゃないですか。
めんどくさい奴だと思われたり、かまってちゃんという不名誉なレッテルを貼られたり、『病んでいる』なんて病人扱いをされたり。
うっかりネガティブな感情を漏らしてしまうと人との間に隔たりを作ってしまい、どうかすれば孤立してしまったりします。
だから必然的にネガティブな感情は胸の奥底に幽閉して、ポジティブな感情だけで人との関わりを形成するようになってしまうんですね。
ポジティブな感情は外に出すことで処理ができるけど、ネガティブな感情は自分の体内に留めておくことしか出来ず、それが蓄積されて臨界点に達してしまうと、ダメな方向に感情が昂ってしまい、出口のない反芻思考で堂々巡りのネガティブスパイラルに囚われ、『眠れない夜』に迷い込んでしまうわけです。
一昔前なら、そういったネガティブな感情はインターネットの掲示板などに垂れ流すこともできたのですが、近年ではインターネットも整備されてしまい、SNSはもはやキラキラ充実発表会の場で、ネガティブな感情は場違いにすら感じられます。
現実で言えないことをネットに書き込む時代から、ネットに書き込めないことは近しい誰かに聞いてもらうしかない時代になったのかもしれません。
またしても行き場を失ってしまったネガティブな感情はいったいどうやって処理をすればいいのでしょうか。
そこで重宝するのが、身も蓋もない悲劇系の映画や、鬱屈としたネガティブな感情を表現した音楽になります。
現実世界では禁句とされているネガティブな要素をこれでもかというくらいに詰め込んだ作品に触れると、そこに強烈な共感を感じるんですよね。
自分の中に蓄積されたネガティブな感情が『わかるー!』と声を上げ、カタルシス効果により処理に困っていた、ネガティブな感情が涙や鼻水と共に外に出すことができるのです。
個人的に、ストレスが蓄積されると喉に異物感を覚える私ですが、これをやると実際にその異物感が綺麗になくなるから不思議です。
もちろん、悲劇的な映画を観終わった後や絶望にどっぷり浸かれる音楽を聴いた後は、それなりの『余韻』の時間がありますが、そこを通り過ぎると心地良い疲労感と安堵感に包まれ、身体の芯からリラックスできるような気がします。
これが上手に出来ると、万年不眠気味で眠るのが下手くそな私でもその日の夜はぐっすりと眠ることができるのですよ。
きっと自分の体の中に閉じ込めているネガティブな感情がカタルシスを欲しているのでしょうね。
リラックスできる夜を自己プロデュースしようとすると、ついつい『お風呂にアロマキャンドルを並べて~』だとか、『おしゃれな音楽を聴きながらちょっと贅沢なお酒を呑んで~』だとか、何処ぞのキラキラインフルエンサーの真似事みたいなことをしてしまいがちですが、自分の身体が何を求めているのか、耳を澄ませて聞いてみた方が良さそうですね。