ちょっと気楽になった夜
お悩み相談の痛快なアドバイスが人気。
人生の格言で多くの人の心を動かすDJあおいが
あなたの夜をちょっと気楽にします。
じゃない方の選択肢
恋人と別れた人よりも、恋人と別れられない人の方が深刻です。
仕事を辞めた人よりも、仕事を辞められない人の方が深刻です。
様々な人のお悩みに向き合ってきましたが、深刻なお悩みは『選択肢がない』という共通点があります。
本当は別れる権利を持っているのに、本当は辞職する権利を持っているのに
その権利を自ら放棄して義務にしてしまっている。
どんなに素敵な人とお付き合いができても、『別れる』という選択肢のない義務化したお付き合いでは息が詰まってしまうし、どんなに高待遇なお仕事に従事できても、それが義務になってしまうと謎のアレルギー反応が起こってしまう。
『やめる』という権利を有しているから、『やる』という意思決定も権利になるのであって、やめることを自ら禁じてしまうと、『やる』という権利を失ってしまい、それは権利ではなく義務になってしまうということです。
そう思うと、結婚式の誓いの言葉なんて最悪ですよね。
『病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、共に愛し共に敬い、慈しむ事を誓いますか?』
なんて、ちょっとできない相談ですよね。
そんなことを誓ってしまったら離婚という選択肢を失うことになってしまい結婚生活が義務になってしまう。
選択肢の失われた逃げ道のない結婚生活なんて、共に窮屈で共に重圧を与え合う関係にしかならないじゃないですか。
『いざとなったら別れてやるぜ?』という権利を有してこそ、お互いが愛し愛される権利を有することができるのだと思います。
選択肢があるからこそ、肩肘を張ることのない末長く続く理想の関係になれるのだと思いますよ。
真面目な人ほど『じゃない方の選択肢』を捨てがち。
一度従事した仕事は最後までやり遂げなければならないとか、一度愛した人なら何があっても添い遂げなければならないとか。
本当は『逃げたらダメ』なんてルールは何ひとつとしてないのに、自ら退路を絶って平坦な道も茨の道に変えてしまうんです。
もちろん、選択には責任が伴うのは世の常であり、逃げる権利を行使すればそれなりの責任を負わなければなりません。
条件付きの権利ではありますが、それでも選択肢として『逃げる』というカードを持っている人と捨ててしまった人とでは格段に幸福度は異なります。
鬱屈とした夜に辟易している人は、もしかしたら無くしてしまったカードがあるのかもしれません。
自分で自分を追い詰めていないか、凝り固まった融通の利かない価値観が自分の首を絞めていないか。
どうせ深刻に考えるのなら、頭の中のどこかに埋もれているはずの『じゃない方の選択肢』を取り戻すように働きかけてください。
豊かさとは、選択肢があることですからね。
そして選択肢は尽きることはありませんからね。
どこまで行っても道は続くし分岐もする。
実は人生に袋小路なんてないんですよ。